強いチームを形成する6つのカギ

1.強いリーダーシップ

ビジネスコーチとして、ビジネスオーナーやスタッフからよく聞かれるのは、どうやったら部下たちを統率し、問題に対して互いに非難し合うのではなく、自分の仕事に集中してもらえるか、ということです。私の答えはちょっと耳に痛いものかもしれません。ビジネスオーナーの方には、部下たちと一対一で定期的に話し合う時間を持っているか、問題について部下を非難していないか、ビジネスの進捗について自分の問題として責任をもって対処しているか、質問します。興味深いことに、部下は上司の姿を映し出す鏡のようなものなのです。

一言でいえば、強いチームを作り出す第一のカギはリーダーシップです。強いリーダーとは、一貫性と能力とを行動で示している人物です。そのような人物だから、信頼されるのです。強いリーダーは他人を巻き込んでインスパイアし、自分のビジョンを伝え理解してもらうため、コミュニケーションスキルも磨き上げています。このように、チームが勝つためには強いリーダーシップが必要なことは明らかです。あなたのビジネスや部署が勝つために、強いリーダーシップが求められています。ビジネスオーナーマネージメントチームとして、私は当社が提供する中でこれが最も重要だと感じています

まずはリーダーを定義することから始めましょう。リーダーとは、他人が従ってついていく人です。強いリーダーは、自分についてくるようチーム全体を巻き込んでインスパイアします。では、ついていくか否かをどのように決めているのでしょうか?私は「信頼」この一言に集約されると思います。人は信頼に値する人についていくものです。

では、信頼を得てついてきてもらうには、どうしたらいいのでしょうか。それには、まず部下たちのことを最優先で考え、そして結果を出す能力を持つことです。私は、ハートとスピリットと呼んでいます。ハートというのは、一貫性、能力、しっかりした実績、性格の強さ、評判であり、スピリットというのは、明確なコミュニケーション、自信、意欲、そして情熱です。あなたには十分、熱意と能力があります。

強いリーダーは、スピリットとハートを持っているだけではなく、チームの当事者意識をインスパイアする能力もあります。これは、チームメンバーがリーダーを信頼し、尊敬しているからできることです。敬意を持ってもらう最善の策は、聞くことだと思います。話を聞いて、メンバーのパースペクティブをしっかり理解しようとする姿勢を見せ、チームメンバーへの敬意を示すことです。心からの信頼を得るには、まずあなた自身が相手を知り、関心をもたなければなりません。チームメンバーは、あなたの判断はチームにとって最善だというあなたの信念に基づいていること、そしてその判断に影響を受けるすべてのことが考慮されたうえでなされていることを、信じているはずです。これが弱いリーダーシップだという人もいます。私は、強いリーダーがすべてのパースペクティブを誠意をもって聞き理解できるようになり、チーム全員にとってベストな共通ゴールに向かって率いていけるようになるには、時間がかかると思います。

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2.共通ゴール

あなたのビジネスや部署には、明確なビジョンがありますか?強いチームのための第2のカギは、共通ゴールです。チームとしてゲームに勝つには、チームの全員が明確に定義された目的を共有していることが必須です。それにはチームにこのゴールについてしっかり伝える責任は、リーダーにあります。

チームから尊敬される強いリーダーが見つかると、次の質問は当然「私たちはどこに向かっているのか」ということになります。

アクションコーチの世界では、目標設定手法の大切さについてお話しします。強いチームには、明確な共通ゴールと、それを達成する行動計画があります。偉大なゴールはスマート(SMART)、つまり具体的か(Specific)、測定可能か(Measurable)、達成可能か(Achievable)、結果志向か(Results oriented)、そして期限があるか(Time frame)、が明確です。スマートの原則に沿ったゴールには、チームをある決まった成果にフォーカスさせる能力があります。信頼される必要がありますし、チームを組織の究極のビジョンへと導く必要もあります。

確固たるゴール設定は、それが何であるかよりも、それを行うことに効果があるのです。多くの人、パワフルでチャレンジングなゴールを設定することを躊躇します。失敗が怖いからです。その怖さは、もしゴールが定められた期間内に完璧に実現できなければ、チームメンバーが失望するだろうという思いから来ています。この恐怖を振り払う方法は、ロジカルに解きほぐしていくことです。共通ゴールでチームが一つになり、チームが集中して、全てのパフォーマンスとチームスピリットが高まったのなら、なぜ締め切りまでに完璧なゴールに到達できなかった程度のことで落ち込まなければならないのでしょうか?リーダーに必要なのは、チームを勇気づけ、失敗ではなく進捗とそこから得た学びをしっかりと認めること、そして新たなゴールを設定することです。そして、現状に基づき、必要な進捗、学び、調整にフォーカスしていくべきです。より大きな夢とゴールを描くことで、良い質問が作り出され、優れた決定、行動、そして結果へとつながっていきます。

ですから、強いリーダーとして、チームに寄り添い、強力な共通ゴールを設定し、チームをまとめ率いていくことが課題になります。これが強いチームへの第2のカギです。

3.ゲームのルール

勝つための第3のカギは、ゲームのルールを知ることです。ルールを知らないゲームで勝つことを、想像できますか?スタッフのモチベーションや生産性が上がらないのは、何を期待されているのか、明確でないことが理由の場合も多いのです。あなたのスタッフには、会社のコアバリューがわかっていますか?あなたはコアバリューを定義し、会社の文化をチームメンバーに伝えることに、十分な時間をかけていますか?

チームから尊敬される強いリーダーシップを得て、目指すべき共通ゴールを設定したら、次はプレイするフィールドを決める番です。

多くの人が、ルールに抵抗したくなるものです。基本的に、できること、できないことを他人に決められるのは誰でも嫌なものです。アイデンティティーや自由が脅かされるように感じるからです。ですから、それを念頭に置いたうえで、ゲームのルールについて話をします。

ゲームという文脈にルールという言葉を持ってくると、ルールの感覚や価値が変わってきます。ルールがゲームを決めているのです。ルールのないゲームはカオスとなり、面白みが全くなくなります。ゲームにルールがあるから、どのようにして勝つか、どのようにして成功するか、チームメンバーとの間の適切な関係性、すなわち、役割と機能をどう伝えるかが決まるのです。

ちょっとイメージしてください。 – 機関車が広い原っぱの真ん中にあるところを。何の制限もない、広いスペース。遮るもののない、自由な空間です。もう一つ、レールの上の機関車をイメージしてください。レールの上に限定されています。ではここで問題です。どちらの機関車が性能をフルに発揮し、遠くまで行けるでしょうか。明らかに、レールの上の機関車です。

強いチームがルールを積極的に取り入れるためには、リーダーがルールの持つ機能をしっかり伝えなければなりません。ルールとは、創造性を押しつぶしたり、コントロールしたり抑え込んだりするものではなく、むしろ勝つための構造や手段を明確に定義するためのものなのです。一度チームがルールを理解すれば、自由にイノベーションしながらゲームを最もよい状態でプレイしていけるのです。プレーヤーが境界を分かっていれば、自由にゲームをプレイできます。境界が不明確な場合は、ゆっくり慎重にしか動けません。

リーダーとして、あなたにはチームと作業しながら、あなたの文化やルールを定義していく責任があります。これが、チームに安心感と効果をもたらします。定まらない目標を狙うことから生じる、当て推量な仕事や妨害が排除されます。

ですから、強いチームにするには、ゲームのルールを明確に定義し、従ってもらうよう理解してもらう必要性があるのです。次に、チームの行動を促すアクションプランについて見ていきましょう。

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4.アクションプラン

強いチーム作り上げる第4のカギは、リスクを恐れないことです。人が潜在能力を最大限に活用するには、新しいことに挑戦し、時にはミスをする必要もあります。ミスをしない人とは、新しいことに挑戦しようとしない人だけです。強いチームでは、常に限界を打ち破ろうとします。ゲームのルールを決めているわけですから、チームはその決められた境界の中で怖がらずにイノベーションを起こせるようにすべきです。

当社のフランチャイズの名称は「アクションコーチ」です。これには、大きな理由があります。生活やビジネスにおいて、誰かが「行動」することがなければ、何も起こりません。あなたが、強いリーダー、共通ゴール、そして、素晴らしい、明確に定義されたルールを持っていても、行動しなければ、何の意味もありません。

先送りは、あらゆる進捗や学びの敵ですが、その根本にあるのは恐怖です。恐怖とは、感情や期待を麻痺させ、ネガティブな結果を想起させます。恐怖に対する特効薬は、行動なのです。行動を最も効果的にするには、まずきちんと整理された考えや計画が必要です。素晴らしい行動計画のステートメントはとても単純で、次の3つの言葉で表せます。「誰が」「何を」「いつ」するのか。これだけなのです。ゴールとルールが明確になったら、計画を論理的なステップに分解し、それぞれのステップをふさわしいチームメンバーに委託します。そして責任範囲を締め切りを定めたら、準備完了です。

多くの会議が、最後にアクションプランを作成しないため、やる気をそがれるものになっています。アクションプランなしに話し合い、分析するのは、非生産的です。行動し、結果や反応が出て初めて、やるべきことがわかるからです

アクションコーチでは、次のような言い方もします。「セミナーが仕事するわけではありません。皆さんがするのです。」全ての学びや決定の目的は、行動にフォーカスしており、アクションプランは成果を出すためのツールなのです。ですから、次にチームで会議をする際に、実際にやってみてほしいことがあります。会議が終わりに近づいたら、一枚の紙を取り出し、縦に3つに区切ります。それぞれに「誰が」「何を」「いつまでに」と書いたら、出席者全員のアクションプランを記入します。行動として「何を」するかに特化し、それぞれに対して締め切りと責任範囲も記入します。とても単純ですが、これがあなたのチームを動かす最善策なのです。

5. リスクを恐れない

強いチームへの第5のカギは、アクションプランを持つことです。素晴らしいアイデア、刺激的なビジョン、そして満足のいく職場であれば、自動的に結果が出るわけではありません。行動するから、結果が得られるのです。日々、チームメンバーが、いつまでにだれが何をサポートしてもらって実行するのか、知らなければなりません。

チームメンバー一人一人の潜在能力を最大限活用するには、リーダーと組織がリスクを恐れないようにしなければなりません。これは何を意味するのでしょうか?それは、ミスや失敗に対する恐怖心を手放す、ということです。課題に対しては貪欲に複数の解決策を求める、ということです。正しい頭脳とクリエイティブな考えを歓迎し、新たなアイデアや挑戦を歓迎し、報酬を与えていくことです。良いだけでは十分ではないということ、成長、イノベーション、そして実験し続けるのが、文化の基本になることです。

このような概念やアイデアを怖いと思いますか?怖がる必要はありません。実際、このような概念を否定することのほうが、ビジネスや部署の安定のためには「危険な」ことです。新しいことへの挑戦やミスすることを拒否するのは、ビジネスやチームの失敗のもとです。例えば、リスクをとることをサポートできなかった場合にありがちなのは、創造的でイノベーションを起こす人材がチームから去ってしまうことです。そして残ったメンバーは覇気がなくなり、緩慢で冴えない働き方になります。人間というものは元来、想像し、イノベーションを起こし、探索し、そして実験するものなのです。リスクを冒すことを拒否するなら、冒険、面白さ、創造性を組織から排除してしまうことになります。

しかし、チームがリスクのある行動へと踏み出せば、創造的なエネルギーやシナジーが生まれ、好調の波に乗り始めます。ここまで聞いたなら、大きな損失や悲劇を引き起こすことなくそれを実行するにはどうしたらいいかが知りたくなるでしょう。自分の資産をぎゃぶるで失うようなことなく、リスクのある行動をサポートするには、どうしたらいいのでしょうか?それを実現するカギは、これまでに述べた他のカギと共に実行することです。強いリーダーはバランス、認識力、一貫性をプロセスに加えます。ゲームにおける強いルールがあることで、リスクを一定のレベルに抑えることができます。実際、強いルールがあるとリスクをとる行動を取りやすくなるのです。チームが境界を知ることで、フェンスの中にいる限り、ミスを恐れず最大限のリスクをとれるようになります。リスクをとることがルールの範囲内でサポートされているため、失敗を恐れることはなく、チャンスからチームが学ぶことが加速され、もっと様々なことに挑戦し、何に効果があり何に効果がないのかを学んでいくのです。

アクションプランは、その場で確立されたルーチンの責任範囲を保ちます。チームが革新的で実験的でありながらも、必要な主力業務や責任についてはアクションプランを遵守することで実行できるのです。

あなたには、これらの6つのカギの相乗効果が分かり始めていると思います。次に、必須のカギとなる100%の関与について見ていきましょう。恐れを払いのけ、チャンスをつかんでください!得られるものがきっとあります!

6. 100% の関与と参入

最後に、強いチームのための第6のカギは、100%の関与と参入です。メンバーは、自分がチームに受け入れられていることを理解しなければなりません。そして、彼ら自身がチームに100%参加することを選ばなければならないのです。仕事に完全に没頭していない人材は、チームのパフォーマンスを低下させます。100%参加というのは、強力なチームのシナジーを作り出します。

これまで、素晴らしいアクションプランを作成し、チームを新たなパフォーマンスや結果が出せるレベルまで引き上げるための情報をお伝えしてきました。どのカギもチームのパフォーマンスを最大限にするのに必須ですが、この最後のカギも例外ではありません。

チームリーダーであるあなたに、警告したいことがあります。リーダーシップを発揮するにあたり、非常に困難なことに直面するだろうということです。その困難とは、チームへの100%参加を求めることです。あなたのチームに、根本から変わってもらう、でなければチームを去ってもらう必要があるメンバーがいることにお気づきの方もいらっしゃるでしょう。『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』(原題:Good to Great)の著者であるジム・コリンズは、ある時、チームにある人をとどめておくべきか、去るように言うべきか、尋ねられたそうです。その時の答えは、次の二つの質問をしてみてください、とのことでした。

(1) もしその人が今日、もっといい仕事をどこかで見つけて去っていったら、あなたは嬉しいですか、悲しいですか?

(2) もしその人が今日、あなたがその人を良く知っていることが分かっていながらあなたの職場に応募してきたら、あなたはその人を雇いますか?

これらの質問への答えから、やらなければならない行動がはっきりと見えてきます。100%の関与とは、チームメンバーの一人一人が成功に向け、全力でチームに貢献していくことです。具体的に言えば、チームメンバーはゲームをするために現れ、時間通りに、連続して、プレイする準備ができているということです。メンバー全員が、リーダーやほかのメンバーをサポートするためにできることを、自分から進んでしようとします100%の参入とは、チームのメンバー全員が同じチームメンバーを、置き去りにせず例外なく受け入れ、サポートするよう貢献すつということです。別の言葉でいえば、チームはやる気に満ちているということです。これは強固です。 – どのメンバーも完全に没頭し参入しているからです。

これらのカギをうまく使い、現場に出て、ゲームに勝ってください!

(デビッド・ビーム)


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