1-09 購入チェックリスト
それぞれの顧客に合わせて商品をアピールし、
購入意欲をかきたてましょう。
お店にお目あての商品を買いに来られた顧客に、「実はこういう商品もありますよ」「この商品に興味を持たれているお客様には、こちらの商品もおすすめですよ」と、別な商品や関連グッズに気づいていただきながら、より多くの自社商品をアピールし、顧客の購入意欲をかきたてる、それが顧客のための購入チェックリストです。
例えば、Aというパソコンを買いに来られた顧客には、ついでに購入していただけるように関連したおすすめのソフト、メモリー、キーボード、バッテリー、パソコンケースなどが一覧になったチェックリストをお渡しします。Aの購入者に、なぜそのソフトやメモリーがおすすめなのか、リストに明記しておきます。
また、きちんと説明できるように営業スクリプトを作成し、営業スタッフに指導しましょう。「ポテトもご一緒にいかがですか?」「その料理に良く合うワインはいかがでしょう?」というのも営業スクリプトの良い実践例ですが、顧客自身が自然に気づくように、店内ポスターやメニュー表、レシート、次回サービス券などで他のおすすめ商品をお知らせするのも1つの方法です。あるいは、自社の購入サイトに、商品を選ぶと、次々とオプションのおすすめ商品が出て来る仕組みを作るのも効果的です。
1-08 自社商品を分析する
今売れている商品が何かを知り、
会社全体で売れている商品に注力しましょう。
あなたは、自社のどの商品がよく売れているのか、どの商品が売れずに長期在庫になっているのかを把握していますか?季節や時期によって、売れ行きの大きく違う商品やサービスはありませんか?
それぞれの商品を定期的に利益率(粗利率)と販売量の2つの軸で測定することで、今売れている商品が何かを知り、会社全体で売れている商品に注力することができるようになります。一番簡単なのは、商品別の利益率×販売量=粗利を出して比較することです。売れている商品を中心にマーケティングプランを考え、より売上を増やすための営業スクリプトを作成しましょう。
もしかしたら、売れていない商品は販売を取りやめるべきかもしれません。あるいは、売れている商品とパッケージにして早めに在庫を減らすように工夫が必要かもしれません。
粗利の多い商品やサービスは、さらに売上を伸ばすために、もう一度、価格やコストを見直してみましょう。値上のワザと組み合わせることで、粗利を増やせるかもしれません。
1-07 既存顧客をケアする
あなたは既存の顧客に定期的に連絡をとっていますか?
顧客は、①まだ商品を購入してはいないが問い合わせをしてきた見込み客(Prospect)、②初めて買ってくれた『買い物客』(Shopper)、③2度以上購入している『顧客』(Customer)、④メンバーシッププログラムに参加している『会員顧客』(Member)、⑤他の人にもどんどん商品を推奨してくれる『支持者』(Advocator)、⑥ずっと愛好してくれている『熱狂的ファン』(Raving Fan)の6種類に分類できます。
「1-02 常連顧客用VIPカード」でも説明しましたが、手間のかかる新規顧客の開拓よりも、こうした今いる既存顧客の新たな需要を掘り起こすほうが費用対効果は高くなります。その既存顧客の新規需要を生み出すワザが、定期連絡です。
上記の6つの分類ごとに顧客一覧を作成し、それぞれの顧客に合わせて対策を決めて、ハガキやメールなどで定期的に連絡をとりましょう。
例えば、『見込み客』には、「初回割引」「初めての方だけの特典がありますよ」と案内してみましょう。『買い物客』には、「お客様にはこんな商品もおすすめですよ」「この商品を買われた方向けには、こういう商品もあります」「2回目のご購入特典があります」とすすめてみましょう。『顧客』には、「よりお徳な特典がいっぱいの会員、メンバーになりませんか?」と誘ってみましょう。
『会員顧客』には、あなたの会社への親近感やロイヤリティがより上がる「お友だちに商品を紹介してください」「ご友人ご紹介キャンペーン」を案内しましょう。紹介が1回切りにならないように、何度も紹介してくれる会員顧客には『支持者』になっていただけるように、紹介してくれたお客様の人数や購入金額に応じてコミッションを支払うなど、きちんとお礼をします。
こうして何度も紹介してくれる人にきちんとコミッションを払って紹介を継続してもらうことで、その顧客はさらにより多くの人を紹介してくれる『熱狂的ファン』になってくれます。こうした熱狂的ファンの方には、いつも「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。例えば、ベスト顧客としてパーティで表彰したり、熱狂的ファンの方々だけの旅行に招待したり、感謝状やプレゼントを贈るのも良いでしょう。
このように顧客をランキングで分類して定期連絡によって需要を掘り起こすことで、新規顧客に頼らずに売上を作ることができます。
やるべきタスク
1. 既存顧客を6つのカテゴリーに分類する。
2. 6つのカテゴリーごとに定期連絡の対策案を検討する。
3. 6つのカテゴリーごとに定期連絡の対策案を決める。
4. 『見込み客』が『熱狂的ファン』になる循環プログラムを作成する。
5. 既存顧客に定期連絡を行う。
6. 顧客への提案、割引、コミッション、プレゼントを見直す。
1-06 チャネルを見直す
各チャネルの費用対効果をきちんと数字で測定しながら、
会社のお金を投資し、社員を配置しましょう。
テレマーケティング、リスティング広告、メルマガ、SNS、ツイッター、動画マーケティング、あるいはリファーラル(紹介)など、多くのマーケティングチャネルがある中、あなたは、自社の顧客が主にどのようなチャネルを通して、あなたの会社の商品やサービスを知り、購入しているのかを正しく把握していますか?
限られた会社のお金を最も有効に活用するためには、定期的なマーケティングチャネルの見直しが欠かせません。別な言い方をしましょう。あなたは、それぞれのチャネルの費用対効果をきちんと数字で測定しながら、会社のお金を投資し、社員を配置していますか?
もしかしたら、どのマーケティングチャネルにも同じように社員を配置して、毎月同じように費用をかけていませんか? 売上の高いチャネルに力を注ぎ、弱いチャネルを改善・強化、あるいは廃止するために、必ず定期的にマーケティングチャネルの費用対効果を測定しましょう。
例えば、先月、テレマーケティングにかけた費用は100万円で、そこから売上につながった金額が1000万円だとします。すると、費用対効果は売上1000万÷費用100万円で10倍ということになります。
同じように測定したところ、リスティング広告の費用対効果は30万円÷20万円で1.5倍、メルマガの費用対効果は480万円÷30万円で16倍でした。この先月の結果を考慮して、来月、テレマーケティングとメルマガは現状どおりに継続するとして、リスティング広告に関しては検索キーワードを変えることで改善できるのか、それとも、もはや改善できる見込みはほぼないと判断して、リスティング広告にかけていた費用と社員をより効果のあるチャネルにまわすのかを判断します。
マーケティングチャネルと同じように、あなたの会社の商品やサービスをリファーラル(紹介)してくれる人や会社についても、費用対効果を測定してみましょう。小さなコストで多くの紹介をしてくれる人や会社とはもっと関係を強化しましょう。あまり紹介をしてくれない、効果の上がっていない人や会社には、どんな改善ができるかを検討しましょう。
顧客も協力会社も、マーケティングチャネルも、常に変化しています。定期的にそれぞれのマーケティングチャネルの費用対効果を測定し、見直すことを忘れないでください。
◉ 基本用語
マーケティングチャネル:顧客の手元に商品が届くまでの経路。
テレマーケティング:オペレータが電話やチャットなどで直接顧客と会話して販売促進を行うこと。
リスティング広告:ユーザーが検索したキーワードに関連した広告を有料で検索結果ページに表示するサービス。
1-05 資金繰りを改善する
債権回収は、資金繰りを良くする効果的なワザです。
債権回収は、顧客からの入金までの支払サイトの長い業種に特に効果のあるワザです。例えば、外部の業者や外部スタッフを多く使う建設業などでは、顧客の5,000 万円の入金が90日後であっても、自分の抱える左官屋さん、大工さん、内装業者さんなどにはいつも30日後、60日後に報酬を支払わなければならないといったケースが起こります。
つまり、顧客からの入金までの60日間は自社の体力でお金を回していかなければなりません。こうした場合に、あなたの会社からの支払サイト、あなたの会社の債権回収のサイクルを見直すことで、資金繰りがもっと楽になります。
あなたの会社では、顧客や外部スタッフの都合をそのまま受け入れていませんか? 会社全体で支払と入金のサイクルを管理せずに債権回収のサイクルはそれぞれの営業担当者任せだったり、支払は外部スタッフの希望どおりに経理が支払ったりしていませんか?
まずは会社全体の支払サイトと債権回収のサイクルを把握しましょう。今後発生しそうな支払や債権をまとめ、いつ支払を行い、誰がいつ債権回収を行うのかを決め、期限を定めて状況を報告してもらうようにします。
もしも入金が遅れている顧客がいれば、誰がいつどのように支払の督促を行うかを決めて実施しましょう。また、新規顧客には支払の期限を90日後ではなく、60日後あるいは30日後にしてもらえば資金繰りはかなり改善します。そのために、新規顧客向けの契約書・申込書を作成し、あなたの会社への支払いが60日以内、30日以内であることを受け入れてもらえるように、説明用のスクリプトを作成しましょう。
もしも1回の支払の督促をしても債権回収ができない場合には、2回目の支払の督促を行います。それでもだめなら、社長や別な担当者が3回目の支払の督促を行うのか、それとも専門の債権回収業者や弁護士に依頼するのかを検討します。
債権回収はとても重要ですが、そればかりに時間をかけていては会社本来の業務がおろそかになってしまいます。毎週月曜日に入金予定リストで遅延者がいないかチェックするなど、債権回収のもれを未然に防ぐマニュアルを作成しましょう。
やるべきタスク
1. 債権サイクルを分類する。例)30日間以下、30-60日間。
2. 第1回支払督促状を作成。
3. 第1回債権回収資料を相手へ送付。
4. 新規顧客向けのスクリプト・契約書・申込書などを修正する。
5. 第2回支払督促状を作成。
6. 残りの相手へ第2回支払い督促状を送付。
7. 債権回収業者・弁護士を選定する。
8. 残りの相手を業者・弁護士へ委任する。
9. 社長へ債権回収状況を報告する。
1-04 紹介を活用する
広告・電話営業・DMを使わない「紹介」は、
コストをかけずに新規顧客を増やせます。
会社にとっては、テレビやラジオ、ネットなどの広告宣伝・コールドコール(新規の相手への電話営業)・ダイレクトメール(DM)、チラシのポスティングなどのセールスプロモーションを使って新規顧客、見込客を増やす取り組みが一番手間がかかる、つまり営業コストのかかる部分です。しかし、誰かに誰かを紹介してもらうリファーラル(紹介)は、お金のかかる広告宣伝・電話営業・DMなどを使わないので、あまりコストをかけることなく新規顧客や見込客を増やせる最も効果的なワザなのです。
基本的に、あなたの会社の商品のことをよく知っている人が「この人ならきっと顧客になってくれるだろう」という人を紹介しれくれるのですから、あなたの会社の商品のことをまだよく知らない新規顧客、見込客よりも、かなり成約率は高くなります。しかも、知り合いに紹介してもらったという意識があるので、紹介されたお客様も一度だけではやめにくいので、継続する確率も通常より高くなります。
もちろん、ここで見込客をリファーラルしてくれる人は、既存のお客様だけではありません。業務提携している会社や関連業務をお願いしている協力会社、あなたや社員の友人、知人、友人の友人も含まれます。それぞれの紹介者に、あなたの会社の商品を「もっとリファーラルしたい」と思ってもらえるようなインセンティブ(誘因=その人のやる気や意欲を引き出す外からの刺激)は何かを考えてみましょう。
例えば、新しいお客様を1人紹介すると「3000円引きになります」「3000ポイントがもらえます」「会費が1カ月無料になります」といったインセンティブは、ネットやチラシ、近所のお店の張り紙でも見かけることがあります。
こうしたリファーラルによるインセンティブは、既存のお客様にアプローチする良いきっかけになります。大切なポイントは、リファーラルを通して、既存のお客様に日頃の感謝を伝えることです。「いつもありがとうございます!日頃の感謝として、今、お友だちをご紹介いただくと…」
まずは今のお客様や業務上のパートナーについてもっとよく知り、その方々があなたの会社の商品を、どうすれば「もっとリファーラルしたい」と思ってくれるかを検討してみましょう。
そのうえで、それぞれの紹介者の方に向けたリファーラルをお願いする資料を作成します。次に、実施スケジュールを作成し、今回の具体的な数値目標、誰が何をいつまでにどのように行い、誰がいつどのように評価するかを決めておきます。実施後は、きちんと効果を測定し、より効果的なリファーラルになるように、見直しをしましょう。
やるべきタスク
1. 紹介者へのインセンティブを決める。
2. 紹介者への各種資料を作成する。
3. 具体的な数値目標、報告体制(担当設置)を決める。
1-03 営業マニュアル
最も効果的に成約率を上げるワザが、営業スクリプトの使用です。
売上を上げる方法にはいろいろなワザがあります。そのうちの1つ、最も効果的に成約率を上げるワザがこの営業スクリプト(営業のための台本・手順・マニュアル)の使用です。営業に必要なスクリプトを作成して社内で共有するだけなので、あまりコストがかかりません。何より、社内の営業スキルの向上のために、すぐに取り組めるアクションです。
例えば、あなたの会社に10 人の営業担当者がいたとします。当然ですが、それぞれの売上成果にはかなりの個人差が出るはずです。100 件訪問して10 件の契約をとる営業担当者もいれば、100 件訪問して1件しか契約のとれない営業担当者もいます。
では、100 件訪問して10 件の契約をとる営業担当者は、一体どんな営業を行っているのでしょうか? そのやり方を会社全体の営業スクリプトとして使えれば、もっと営業の成果が出ると思いませんか? この営業スクリプトを作る方法には、いろいろなやり方があります・
例えば、優秀な営業担当者に同行して、その営業の手順、会話の特徴などをメモして列挙してみましょう。100 件訪問して1件しか契約のとれない営業担当者のやり方も同じようにスクリプトにして2つを比較すれば、どこが違うか、優秀な営業担当者はどのような手順で初回の訪問から契約につなげているのかがよくわかるはずです。そのポイントになる点をまとめて、手本となる営業スクリプトを作成します。
次にその草案スクリプトを他の社員にも適応できるように、できそうなことから優先順位を決めます。そうやって社員教育用の資料を作成します。
社員教育用資料が完成したら、関係者で実際に社内研修を実施します。その際には、その優秀な営業担当者のやり方をビデオに録画して、みんなでその良い点を見つけて話し合うのも良いでしょう。また、いくつかのケースをあげて各社員にデモンストレーションを行ってもらいながら、グループで改善点を話し合うのも効果的かもしれません。
こうした営業スクリプトの活用、社員教育の実施によって、100 件訪問して1件しか契約のとれなかった営業担当者が、100 件訪問して5件の契約がとれるようになれば、成約率は5倍になります。しかも、営業担当者全員で取り組めば全体の営業スキルも上がるし、今いる社内スタッフだけで行えることなので固定費に影響しません。あなたの会社には営業スクリプトはありますか? ない、あるいはもっと改善したいと思ったら、会社全体ですぐに取り組みましょう。
やるべきタスク
1. 発生しそうなスクリプトを列挙し、優先度を決める。
2. 草案スクリプトと社員教育資料を作成する。
3. 社員教育を実施。今後の新人向けのために録画する。
4. 定期的にスクリプト実施状況を確認する。
5. 各スクリプトに対してステップ1-4を繰り返す。
1-02 常連客用プログラム
メンバーシッププログラムは即効性が高いので、
売上拡大のかなり効果の高いワザです。
あなたの会社では、常連客用の「メンバーシッププログラム」いわゆるVIPカードを導入していますか?
値上げに比べると少し手間はかかりますが、常連客の来店頻度や購入回数、つまり、リピート率を上げるメンバーシッププログラムの導入は、新規開拓に比べると、さほどコストはかからないし、即効性があるので、売上拡大のためのかなり効果の高いワザです。
本来、お客様には、
①まだあなたの商品(サービス)を知らないお客様、
②あなたの商品を知ってはいるけど試したことのないお客様、
③あなたの商品を1度は試したことのあるお客様、
④リピート2回目のお客様、
⑤何度もリピートしてくださっているお客様、
⑥何度もリピートしてくださっていて周囲にあなたの商品を積極的にすすめてくださっているお客様など、いろいろなお客様がいらっしゃいます。
言うまでもありませんが、あなたの商品をまだ知らない、知っているけど試したことがない、あるいは1回しか試したことのないお客様よりも、あなたの商品をよく知っていて、すでに何度か利用してくださっているお客様のほうが、さらにリピートしてもらいやすいはずです。そうした2回目以上のお客様を対象に、さらに常連になっていただけるようにするのが常連客用メンバーシッププログラム、VIPカードの目的です。
まずは常連のお客様にリピート回数を増やしていただけるように、メンバーシッププログラム、VIPカードに参加することで得られるお客様にとってもうれしいインセンティブ(誘因=その人のやる気や意欲を引き出す外からの刺激)、サービス、特典を検討します。このインセンテイブには、あなたの会社内だけでなく、提携先の会社でもポイントが付加されたり、そのポイン卜によって利用できる特典があれば、お客様にとってはより便利で魅力的なカードになるはずです。そのうえで、常連客のインセンティブを明確に定義しておきましょう。
常連客のインセンティブが明確になったら、何を特典にするか、カードの形態、実際に常連客の皆様に配布するメンバーシップキット(申込書、カード、利用規約など)を設計します。お客様がVIPだとより強く感じられるほど、リピート率が高くなります。
やるべきタスク
1. 会員申込用紙の質問集を設計する。
2. 会員申込用紙を作成する。
3. 受付のためのスクリプト作成、受付開始。
4. 常連客に貢献できる提携先の会社を検討する。
5. 提携先候補者に連絡するための提携資料草案を作成する。
6. 提携実施。
7. 常連客のインセンティブを定義する。
8. データベース、カード本体、割引券などの準備をする。
9. メンバーシップキット設計。
10. メンバーシップキット配布。
11. 申込書管理、KPI管理、定期連絡、常連客インセンティブなどをシステム化(担当設置)する。
1-01 値上げを実施する
特別なコストをかけずにすぐに実行できて、
すぐに売上増を実現できる最も効果的なワザが値上げです。
「値上げだって?今のマーケット状況では無理だよ」と、あなたは頭から思い込んでいませんか?
しかし、コロナ禍を脱して景気は回復傾向にあり、消費者物価が緩やかに上昇し、人件費や仕入コストも年々増えていくことが見込まれているこの時期だからこそ、経営者としてのあなたは、会社をしっかりと成長させるために、できるだけ迅速に売上を伸ばして会社の利益率を上げることを真剣に検討する必要があります。
実際のところ、あなたは、5%の値上げをするだけで、結果として会社の利益がどれだけ増えるかをご存知でしょうか?
例えば、売上9億円で利益率8%の内装業者の年間の利益は約7200万円です。この会社が5%の値上げを実施できたら、売上は9億4500万円になります。総費用は売上9億円のときとほぼ同じ8億2800万円だとすると、利益は約1億1700万円、7200万円のときよりも約162.5%も増えるのです。
仮に、この内装業者が、取引先のマンション管理会社に今まで100万円の見積書と請求書を出していたとします。そして今回、人件費や仕入れコストの上昇を理由に、次回から105万円に値上げすることをお願いするのは非現実的ではありません。物価上昇の兆しが強くなっている昨今、十分に妥当な値上げです。同じように、新規顧客を含めた他の取引先にも5%の値上げを実施できれば、会社の経営は劇的に良くなります。
この場合の一番の問題は、「値上げすると注文が減って売上が減るのではないか?」「値上げを言い出すとお客様から反発されるかもしれない」という、何となくの不安、違和感、抵抗感を持っているあなたや社員のマインドではないでしょうか?
値上げを成功させるカギは、「うちの商品やサービスなら、〇%の値上げは可能だ」という意識をあなたや社員が共有できるかどうかです。そのためには、最近のマーケット状況や直近3期分の損益計算書(P/L)の状況を分析して、自分の会社はどれぐらい値上げできるかをきちんと数字で把握することです。
そして、その計算に基づいた具体的な数字を示しながら、関係する社員に値上げの意図と目的、その効果を理解してもらうことが大切です。
売上を上げて利益が増えればどういうメリットがあるのか、まずは役員、マネージャー間で共有しましょう。次に値上げ実施までに必要なことをリストにして、スケジュール化します。もちろん、リストとスケジュールは全員で共有しましょう。
やるべきタスク
1. 直近3期分のP/Lを分析する。
2. タスクに関連する社員に値上げの意図を伝え、理解を得る。
3. 〇%の値上げを実施する。
4. 月次決算し、P/Lへの影響を測定する。
多くのフランチャイズモデルが、