「打ち合わせで個室を借りたいんですが?」「すみません。その日はすべての個室に予約が入っていて、空きがありません…」 これでは、せっかくの売上の機会を失うことになります。

それよりも「その日時、うちの店は空いていませんが、提携している近くのお店を数店ご紹介できます」「うちのお店からの紹介だと、それぞれの店によって5~10%の割引もありますよ」と答えて、「ではご紹介をお願いします」ということになれば、問い合わせをしてきた顧客にも、提携先のお店にも喜んでもらえたうえに、提携先のお店から10~20%の紹介手数料(売上)を受け取ることができます。あるいは提携先から紹介を受けることもあります。


このように、他社の商品やサービスを活用することで自社の売上を伸ばすのが事業提携です。
ポイントは、競争相手、コンペティター(Competitor)となる相手を、自社の足りない部分を埋めてくれる協力者、コーポレーター(Cooperator)、事業提携先にすることにあります。

単に自社の顧客を紹介して手数料を受け取るような一方通行な事業提携に比べ、お互いの顧客や商品、サービスを紹介し合える双方向の戦略パートナーを増やせればなお良いですね。

顧客に定期的に連絡をする場合でも、誰がいつ、どのぐらいの頻度で連絡をするかを事前にきちんと社内で設計しておかないと、定期連絡の効果が低くなってしまう場合があります。

例えば、あまり頻繁にメルマガを送ると、登録を解除されるかもしれません。また、複数のスタッフが何度も連絡をしていると、かえってうるさがられてしまうかもしれません。仕事のメールがたまっている月曜日の朝は、メールを読んでもらえない可能性も高いでしょう。月に1回、隔週1回、金曜日の夕方、夜、土曜日の午前中、午後、夕方など、いくつかのパターンを試 して、反応がいい日時を決めます。

「あのお客様はどうしているかな?」「今月は売上が伸びていないから連絡をしてみよう」といった連絡ではなく、誰が担当するのか、どういう連絡方法で、どういうタイミング、曜日や時間帯が効果的なのかを検討し、一覧表にしてスタッフの共通業務としてスケジュール化しましょう。

「メルマガあるいダイレクトメールのクーポン券で5%引き」「電話を受けられてご来店いただいたお客様だけのプレゼント」などで、その効果についても測定し、顧客連絡予定表を定期的に見直しましょう。

お店にお目あての商品を買いに来られた顧客に、「実はこういう商品もありますよ」「この商品に興味を持たれているお客様には、こちらの商品もおすすめですよ」と、別な商品や関連グッズに気づいていただきながら、より多くの自社商品をアピールし、顧客の購入意欲をかきたてる、それが顧客のための購入チェックリストです。

例えば、Aというパソコンを買いに来られた顧客には、ついでに購入していただけるように関連したおすすめのソフト、メモリー、キーボード、バッテリー、パソコンケースなどが一覧になったチェックリストをお渡しします。Aの購入者に、なぜそのソフトやメモリーがおすすめなのか、リストに明記しておきます。

また、きちんと説明できるように営業スクリプトを作成し、営業スタッフに指導しましょう。「ポテトもご一緒にいかがですか?」「その料理に良く合うワインはいかがでしょう?」というのも営業スクリプトの良い実践例ですが、顧客自身が自然に気づくように、店内ポスターやメニュー表、レシート、次回サービス券などで他のおすすめ商品をお知らせするのも1つの方法です。あるいは、自社の購入サイトに、商品を選ぶと、次々とオプションのおすすめ商品が出て来る仕組みを作るのも効果的です。

あなたは、自社のどの商品がよく売れているのか、どの商品が売れずに長期在庫になっているのかを把握していますか?季節や時期によって、売れ行きの大きく違う商品やサービスはありませんか? 

それぞれの商品を定期的に利益率(粗利率)と販売量の2つの軸で測定することで、今売れている商品が何かを知り、会社全体で売れている商品に注力することができるようになります。一番簡単なのは、商品別の利益率×販売量=粗利を出して比較することです。売れている商品を中心にマーケティングプランを考え、より売上を増やすための営業スクリプトを作成しましょう。 

もしかしたら、売れていない商品は販売を取りやめるべきかもしれません。あるいは、売れている商品とパッケージにして早めに在庫を減らすように工夫が必要かもしれません。 

粗利の多い商品やサービスは、さらに売上を伸ばすために、もう一度、価格やコストを見直してみましょう。値上のワザと組み合わせることで、粗利を増やせるかもしれません。 


顧客は、①まだ商品を購入してはいないが問い合わせをしてきた見込み客(Prospect)、②初めて買ってくれた『買い物客』(Shopper)、③2度以上購入している『顧客』(Customer)、④メンバーシッププログラムに参加している『会員顧客』(Member)、⑤他の人にもどんどん商品を推奨してくれる『支持者』(Advocator)、⑥ずっと愛好してくれている『熱狂的ファン』(Raving Fan)の6種類に分類できます。 

「1-02 常連顧客用VIPカード」でも説明しましたが、手間のかかる新規顧客の開拓よりも、こうした今いる既存顧客の新たな需要を掘り起こすほうが費用対効果は高くなります。その既存顧客の新規需要を生み出すワザが、定期連絡です。 

上記の6つの分類ごとに顧客一覧を作成し、それぞれの顧客に合わせて対策を決めて、ハガキやメールなどで定期的に連絡をとりましょう。 

例えば、『見込み客』には、「初回割引」「初めての方だけの特典がありますよ」と案内してみましょう。『買い物客』には、「お客様にはこんな商品もおすすめですよ」「この商品を買われた方向けには、こういう商品もあります」「2回目のご購入特典があります」とすすめてみましょう。『顧客』には、「よりお徳な特典がいっぱいの会員、メンバーになりませんか?」と誘ってみましょう。 

『会員顧客』には、あなたの会社への親近感やロイヤリティがより上がる「お友だちに商品を紹介してください」「ご友人ご紹介キャンペーン」を案内しましょう。紹介が1回切りにならないように、何度も紹介してくれる会員顧客には『支持者』になっていただけるように、紹介してくれたお客様の人数や購入金額に応じてコミッションを支払うなど、きちんとお礼をします。 

こうして何度も紹介してくれる人にきちんとコミッションを払って紹介を継続してもらうことで、その顧客はさらにより多くの人を紹介してくれる『熱狂的ファン』になってくれます。こうした熱狂的ファンの方には、いつも「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。例えば、ベスト顧客としてパーティで表彰したり、熱狂的ファンの方々だけの旅行に招待したり、感謝状やプレゼントを贈るのも良いでしょう。 

このように顧客をランキングで分類して定期連絡によって需要を掘り起こすことで、新規顧客に頼らずに売上を作ることができます。 


やるべきタスク
1. 既存顧客を6つのカテゴリーに分類する。 
2. 6つのカテゴリーごとに定期連絡の対策案を検討する。
3. 6つのカテゴリーごとに定期連絡の対策案を決める。 
4. 『見込み客』が『熱狂的ファン』になる循環プログラムを作成する。 
5. 既存顧客に定期連絡を行う。 
6. 顧客への提案、割引、コミッション、プレゼントを見直す。 

テレマーケティング、リスティング広告、メルマガ、SNS、ツイッター、動画マーケティング、あるいはリファーラル(紹介)など、多くのマーケティングチャネルがある中、あなたは、自社の顧客が主にどのようなチャネルを通して、あなたの会社の商品やサービスを知り、購入しているのかを正しく把握していますか?

限られた会社のお金を最も有効に活用するためには、定期的なマーケティングチャネルの見直しが欠かせません。別な言い方をしましょう。あなたは、それぞれのチャネルの費用対効果をきちんと数字で測定しながら、会社のお金を投資し、社員を配置していますか?

もしかしたら、どのマーケティングチャネルにも同じように社員を配置して、毎月同じように費用をかけていませんか? 売上の高いチャネルに力を注ぎ、弱いチャネルを改善・強化、あるいは廃止するために、必ず定期的にマーケティングチャネルの費用対効果を測定しましょう。

例えば、先月、テレマーケティングにかけた費用は100万円で、そこから売上につながった金額が1000万円だとします。すると、費用対効果は売上1000万÷費用100万円で10倍ということになります。

同じように測定したところ、リスティング広告の費用対効果は30万円÷20万円で1.5倍、メルマガの費用対効果は480万円÷30万円で16倍でした。この先月の結果を考慮して、来月、テレマーケティングとメルマガは現状どおりに継続するとして、リスティング広告に関しては検索キーワードを変えることで改善できるのか、それとも、もはや改善できる見込みはほぼないと判断して、リスティング広告にかけていた費用と社員をより効果のあるチャネルにまわすのかを判断します。

マーケティングチャネルと同じように、あなたの会社の商品やサービスをリファーラル(紹介)してくれる人や会社についても、費用対効果を測定してみましょう。小さなコストで多くの紹介をしてくれる人や会社とはもっと関係を強化しましょう。あまり紹介をしてくれない、効果の上がっていない人や会社には、どんな改善ができるかを検討しましょう。

顧客も協力会社も、マーケティングチャネルも、常に変化しています。定期的にそれぞれのマーケティングチャネルの費用対効果を測定し、見直すことを忘れないでください。


◉ 基本用語
マーケティングチャネル:顧客の手元に商品が届くまでの経路。
テレマーケティング:オペレータが電話やチャットなどで直接顧客と会話して販売促進を行うこと。
リスティング広告:ユーザーが検索したキーワードに関連した広告を有料で検索結果ページに表示するサービス。

債権回収は、顧客からの入金までの支払サイトの長い業種に特に効果のあるワザです。例えば、外部の業者や外部スタッフを多く使う建設業などでは、顧客の5,000 万円の入金が90日後であっても、自分の抱える左官屋さん、大工さん、内装業者さんなどにはいつも30日後、60日後に報酬を支払わなければならないといったケースが起こります。

つまり、顧客からの入金までの60日間は自社の体力でお金を回していかなければなりません。こうした場合に、あなたの会社からの支払サイト、あなたの会社の債権回収のサイクルを見直すことで、資金繰りがもっと楽になります。

あなたの会社では、顧客や外部スタッフの都合をそのまま受け入れていませんか? 会社全体で支払と入金のサイクルを管理せずに債権回収のサイクルはそれぞれの営業担当者任せだったり、支払は外部スタッフの希望どおりに経理が支払ったりしていませんか? 

まずは会社全体の支払サイトと債権回収のサイクルを把握しましょう。今後発生しそうな支払や債権をまとめ、いつ支払を行い、誰がいつ債権回収を行うのかを決め、期限を定めて状況を報告してもらうようにします。

もしも入金が遅れている顧客がいれば、誰がいつどのように支払の督促を行うかを決めて実施しましょう。また、新規顧客には支払の期限を90日後ではなく、60日後あるいは30日後にしてもらえば資金繰りはかなり改善します。そのために、新規顧客向けの契約書・申込書を作成し、あなたの会社への支払いが60日以内、30日以内であることを受け入れてもらえるように、説明用のスクリプトを作成しましょう。

もしも1回の支払の督促をしても債権回収ができない場合には、2回目の支払の督促を行います。それでもだめなら、社長や別な担当者が3回目の支払の督促を行うのか、それとも専門の債権回収業者や弁護士に依頼するのかを検討します。

債権回収はとても重要ですが、そればかりに時間をかけていては会社本来の業務がおろそかになってしまいます。毎週月曜日に入金予定リストで遅延者がいないかチェックするなど、債権回収のもれを未然に防ぐマニュアルを作成しましょう。

やるべきタスク
1. 債権サイクルを分類する。例)30日間以下、30-60日間。
2. 第1回支払督促状を作成。
3. 第1回債権回収資料を相手へ送付。
4. 新規顧客向けのスクリプト・契約書・申込書などを修正する。
5. 第2回支払督促状を作成。
6. 残りの相手へ第2回支払い督促状を送付。
7. 債権回収業者・弁護士を選定する。
8. 残りの相手を業者・弁護士へ委任する。
9. 社長へ債権回収状況を報告する。

会社にとっては、テレビやラジオ、ネットなどの広告宣伝・コールドコール(新規の相手への電話営業)・ダイレクトメール(DM)、チラシのポスティングなどのセールスプロモーションを使って新規顧客、見込客を増やす取り組みが一番手間がかかる、つまり営業コストのかかる部分です。しかし、誰かに誰かを紹介してもらうリファーラル(紹介)は、お金のかかる広告宣伝・電話営業・DMなどを使わないので、あまりコストをかけることなく新規顧客や見込客を増やせる最も効果的なワザなのです。

基本的に、あなたの会社の商品のことをよく知っている人が「この人ならきっと顧客になってくれるだろう」という人を紹介しれくれるのですから、あなたの会社の商品のことをまだよく知らない新規顧客、見込客よりも、かなり成約率は高くなります。しかも、知り合いに紹介してもらったという意識があるので、紹介されたお客様も一度だけではやめにくいので、継続する確率も通常より高くなります。

もちろん、ここで見込客をリファーラルしてくれる人は、既存のお客様だけではありません。業務提携している会社や関連業務をお願いしている協力会社、あなたや社員の友人、知人、友人の友人も含まれます。それぞれの紹介者に、あなたの会社の商品を「もっとリファーラルしたい」と思ってもらえるようなインセンティブ(誘因=その人のやる気や意欲を引き出す外からの刺激)は何かを考えてみましょう。

例えば、新しいお客様を1人紹介すると「3000円引きになります」「3000ポイントがもらえます」「会費が1カ月無料になります」といったインセンティブは、ネットやチラシ、近所のお店の張り紙でも見かけることがあります。
こうしたリファーラルによるインセンティブは、既存のお客様にアプローチする良いきっかけになります。大切なポイントは、リファーラルを通して、既存のお客様に日頃の感謝を伝えることです。「いつもありがとうございます!日頃の感謝として、今、お友だちをご紹介いただくと…」

まずは今のお客様や業務上のパートナーについてもっとよく知り、その方々があなたの会社の商品を、どうすれば「もっとリファーラルしたい」と思ってくれるかを検討してみましょう。

そのうえで、それぞれの紹介者の方に向けたリファーラルをお願いする資料を作成します。次に、実施スケジュールを作成し、今回の具体的な数値目標、誰が何をいつまでにどのように行い、誰がいつどのように評価するかを決めておきます。実施後は、きちんと効果を測定し、より効果的なリファーラルになるように、見直しをしましょう。

やるべきタスク
1. 紹介者へのインセンティブを決める。
2. 紹介者への各種資料を作成する。
3. 具体的な数値目標、報告体制(担当設置)を決める。

例えば、あなたの会社に10 人の営業担当者がいたとします。当然ですが、それぞれの売上成果にはかなりの個人差が出るはずです。100 件訪問して10 件の契約をとる営業担当者もいれば、100 件訪問して1件しか契約のとれない営業担当者もいます。

では、100 件訪問して10 件の契約をとる営業担当者は、一体どんな営業を行っているのでしょうか? そのやり方を会社全体の営業スクリプトとして使えれば、もっと営業の成果が出ると思いませんか? この営業スクリプトを作る方法には、いろいろなやり方があります・

例えば、優秀な営業担当者に同行して、その営業の手順、会話の特徴などをメモして列挙してみましょう。100 件訪問して1件しか契約のとれない営業担当者のやり方も同じようにスクリプトにして2つを比較すれば、どこが違うか、優秀な営業担当者はどのような手順で初回の訪問から契約につなげているのかがよくわかるはずです。そのポイントになる点をまとめて、手本となる営業スクリプトを作成します。

次にその草案スクリプトを他の社員にも適応できるように、できそうなことから優先順位を決めます。そうやって社員教育用の資料を作成します。

社員教育用資料が完成したら、関係者で実際に社内研修を実施します。その際には、その優秀な営業担当者のやり方をビデオに録画して、みんなでその良い点を見つけて話し合うのも良いでしょう。また、いくつかのケースをあげて各社員にデモンストレーションを行ってもらいながら、グループで改善点を話し合うのも効果的かもしれません。

こうした営業スクリプトの活用、社員教育の実施によって、100 件訪問して1件しか契約のとれなかった営業担当者が、100 件訪問して5件の契約がとれるようになれば、成約率は5倍になります。しかも、営業担当者全員で取り組めば全体の営業スキルも上がるし、今いる社内スタッフだけで行えることなので固定費に影響しません。あなたの会社には営業スクリプトはありますか? ない、あるいはもっと改善したいと思ったら、会社全体ですぐに取り組みましょう。

やるべきタスク
1. 発生しそうなスクリプトを列挙し、優先度を決める。
2. 草案スクリプトと社員教育資料を作成する。
3. 社員教育を実施。今後の新人向けのために録画する。
4. 定期的にスクリプト実施状況を確認する。
5. 各スクリプトに対してステップ1-4を繰り返す。