社員や社内チームの正しい評価のためには、具体的な数値目標が必要です。目標への達成度を測定する指標KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を設定し、日々の業務の進捗を数値で把握しましょう。例えば、週に10件のアポイントと2件の受注をとるというKPIが達成できれば、その社員の売上高や売上件数といった目標が達成できます。さらにチーム内の全員がそれぞれのKPIを達成することで、チームのKPIも達成できます。


KPIはノルマではありません。現在、目標に対してどのくらい進捗しているのかが数値で分かる指標ですから、毎日、週単位など短いサイクルで進捗を確認し、目標達成のために個人として、チームとして何をするべきかを再確認します。個人とチームでKPIを設定し、全員で共有することで個人とチームのそれぞれに責任感が生まれます。また、KPIが達成できた時には、個人とチームでどのように評価するのか、どのような表彰制度があるのか、どのような成功報酬が得られるのかを示すことで、やる気を刺激します。達成困難な大きな目標ではなく、本人とよく話し合い「少し努力すれば達成できるかも」というKPIにすることが、社員のやる気と自信につながります。


会社の設立当初は、税務署への届出や社会保険の手続き、日々の経理処理など、本来の業務以外にもやるべきことが多くて、業務以外の仕事に追われがちです。また、会社を経営していると、さまざまなトラブルが起きる場合があります。そういう場合に備えて、会社の事業内容、売上規模、取引状況、資金繰り状況を考慮しながら、経理、法務、保険関連を整備し、外部の弁護士や税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士、ビジネスコーチなど必要な専門家を活用しましょう。「専門家に頼むと報酬が高いのでは?」と心配かもしれませんが、例えば月額数万円、年間30~40万円程度で税理士に任せることで、日々の経理や入力業務の時間をアウトソーシングして、あなた本来の仕事の時間にすることができます。


ちなみに、会社設立時の登記関連業務は司法書士、事業の許認可関連業務は行政書士が専門です。しかし、会社設立の前に知り合いの税理士や弁護士に相談して、登記や許認可の手続き自体は彼らの提携している司法書士や行政書士が行っているケースもあります。


あなたがお付き合いしている外部の専門家は、ビジネスを伸ばすための貴重な支援者です。積極的に活用しましょう。


会社の発展には、日々増えて行く顧客情報を適切に管理し、最大限に活用することが欠かせません。あなたの会社では、顧客管理をどのように行っていますか?


顧客管理では、お客様の名前や住所、電話番号、メールアドレス、年齢などの属性情報や購入履歴(購入商品、値段、回数、累計売上、利益、平均の購入単価)、過去の対応履歴などの情報を一元管理することが必要です。既存のお客様情報を管理してニーズを整理し、こうした顧客情報からターゲットを絞って営業活動をすること、ニーズに合わせた情報発信で長期的に継続した関係を構築・維持する仕組みを作ることが重要です。


顧客管理には、パソコンにインストール済みのExcelのような表計算ソフトによる方法と、顧客管理システムを活用した方法があります。Excelはコストが安価ですが、連絡先や購買履歴など限られた情報しか管理できません。顧客管理システムは、顧客属性、購入した製品・サービス、取引数量・金額など購買実績、頻度や予算、次回購入見込みなど多様な情報を蓄積し、共有できます。長期的な視点で管理方法を検討しましょう。


お客様から「御社の長所は?」と尋ねられたら何と答えますか? 「何でもできます、何でもあります、お客様のどんな要望にも応えます」というだけでは、会社としての特徴、長所が不明瞭です。USP(Unique Selling Proposition、独自性、優位点)を明確にして、「これに関しては、他のどの会社にも負けません」という長所をアピールしましょう。


よく通販で見かける「30日間無料返金保証」というのも、「使ってもらえれば必ず気に入っていただける」という自社商品の優位性をアピールする方法です。しかし、ある時は保証して、ある時は保証しない、というのではかえって信用を無くしてしまいます。


また、安いだけだと競合他社に負けたり、飽きられたりしてしまうかもしれません。セールやディスカウントに頼っていると、セール価格やディスカウントした価格が正規の価格になってしまいます。最初に、会社の方向性やビジョンに沿う形で、お客様に関心を持ってもらえるような会社のUSPを決めます。どこよりも高品質な商品を手ごろな価格で、どこよりも迅速にご提供いたします」など、決めたUSPの提供を保証し、実行することで、お客様の信頼と満足感を高めましょう。


あなたの商品やサービスを購入しているお客様の重要度は、全員が同じではありません。長年お取引していただいている常連のお客様と初めて購入したお客様では、会社にとっての重要度は異なります。それぞれのお客様を A、B、C、Dといったランキングで分類し、それぞれに合った関係強化の方策を立てましょう。


このランキングの基準は、会社ごとに異なります。例えば、毎週お菓子を10,000円以上購入してくれるお客様をAランクとする会社もあるでしょうし、毎月50,000円以上の化粧品を購入しているお客様をAランクとする会社もあるでしょう。あるいは、年間100万円以上をエステに使ってくれるお客様をAランクとする会社もあります。ただし、判定基準は1つではなく、複数あったほうがより実態に即した公平なものになります。あなたの会社がお取引しているすべてのお客様を分析し、あなたの会社独自の客観的で明確な判定基準を定義しましょう。判定基準の例をあげます。


1.月に50,000円以上の商品を購入している。
2.1年以上、継続して利用している。
3.紹介をしてくれた知人が2人以上いる。
4.紹介をしてくれた知人が2度以上購入している。
5.SNSで紹介してくれたことがある。
6.そのお客様のフォロワーが100人以上いる。


上記のようなランキング判定基準を作成したとして、3つ以上の条件を満たしたお客様をAランクとします。2つ以上満たしたお客様はBランク、1つはCランク、いずれにもあてはまらないお客様はDランクです。


AやBランクのお客様は、重要なお客様ですから、それに見合うサービスを提供します。AやBのようなVIPと判断したお客様への対応に会社の資源を投資することで、より効果的なリターンが期待できます。


また、AやBのお客様は、あなたの会社のブランドイメージを作成するのにも貢献してくれます。AやBのお客様にあなたの会社の商品の積極的な拡散をお願いしたり、VIP限定の商品の提供をしたり、謝恩パーティなどもブランドイメージアップの方法です。また、AやBのお客様のパーソナリティを分析することで、あなたの会社が最もターゲットとすべきお客様のイメージも作れます。


もちろん、CやDのお客様にも、もっとランクアップしたくなるサービスを提供しましょう。


◎ やるべきタスク

1. 判定基準を定義する。

2. 各判定基準の判定条件を定義する。

3. 基準と判定条件に基づき A、B、C、Dのランキングを付ける。

4. 感謝状などAとBのお客様への対策の草案を作成する。

5. 値上げや取引停止など、CとDのお客様への対策の草案を作成する。

6. 自社のターゲット市場とブランドイメージを再検討する。


    苦手な相手同士であっても、その行動の特性を理解したうえで話したり、対処したりすることでコミユニケーションが円滑になり、相互理解を深めやすくなります。相手の行動タイプを4つのパターンに分類して人材の開発や育成を通して組織力を高めるためのツールとして使うことを考えてできたのが、DISC分析です。役員や管理職の行動特性をD/I/S/Cという4つの共通言語を通して知ることで、会社のビジョンが共有しやすくなり、会社全体を強くすることにつながります。


    DISC理論では、人の行動傾向を、D=主導型、I=感化型、S=安定型、C=慎重型の4パターンに分類し、それぞれの傾向性や欲求、好む環境、効果的な対処法を提供します。自分や他の人がどのパターンであるのかを理解し、お互いの違いを理解することで、コミュニケーションがより円滑に行えるようになります。


    D(主導型): 反対を押し切ってでも成果を上げる

    1.自己の価値を高く評価している

    2. 仕事中心、成果重視

    3. 単刀直入な方法で動機付けられる

    4. 基本的な恐れ:利用されること

    5. 他人の考えや感情に対して疎い


      I(感化型): 成果を上げるために仲間を集める

      1. 楽観的

      2. 社交中心

      3. 周囲からの承認で動機付けられる

      4. 基本的な恐れ:周囲からの拒絶

      5. まとまりがない


        S(安定型):思いやりがあり、協力的、控えめなのが好き

        1. 実際的 〜 チー厶プレイヤー

        2. 具体性重視

        3. 慣例によって動機付けられる

        4. 基本的な恐れ:安定を失うこと

        5. 現状を維持し、波風立てない生き方


          C(慎重型): 緻密で正確、計画性のある行動を好む

          1. 正確 〜 緻密、質を重視する

          2. 直観的

          3. 適切な方法で動機付けられる 〜 自制心がある

          4. 基本的な恐れ:自分のやり方に対する批判

          5. 自分にも他人にも過度に批判的で要求が強い


            例えば、社長は楽観的で社交的なIタイプで、専務は慎重で正確なCタイプ、営業部長はリーダーシップをとりたがるDタイプ、他の20人の社員は協力的で安定志向のSタイプだとします。今までは社長のアイデアと社員の協力で成長してきました。しかし、今後さらに成長を目指すには、リーダーシップをとれる中堅社員が足りません。社員研修を通して、それぞれに合ったコミユニケーション方法を学ぶことによって、マネージャー候補を育てることが必要かもしれません。


            やるべきタスク

            1. 各行動パターンに基づいた次のアクションを決める。

            2. 自分や社員、顧客の行動パターンを測定する。


              あなたの会社では今期、どれぐらいの見込み客が期待できると考えていますか?そうした見込み客にどうやってあなたの会社(商品)を売り込む予定ですか?まだあなたの会社(商品)を試したことのない見込み客、1度試したお客様に、リピートしてもらって、お客様との関係をより強化するためのオファー、セールスプランを作成しましょう。


              最初に、顧客を獲得するためにどれだけのコストがかかっているかを計算します。例えば、1万枚のチラシを駅前で配布して新規顧客が10人獲得できたとします。チラシ作成と配布にかかったコストが10万円だったら、1人の顧客を獲得するのに1万円かかったことになります。この10人の顧客がそれぞれ5000円の商品を買っただけだと、売上は5000円×10人=5万円で、5万円の赤字です。しかし、この10人うち、8人のお客様がその後、何度もリピートしているとしたら、いずれ黒字に転換します。このように、見込み客あるいは1回だけ購入したお客様をどうやって何度もリピートしてくれるお客様へと移行できるかが売上を伸ばす鍵です。


              初めてのお客様限定のお試し価格、1個購入したら次回は半額で購入できる割引券、初購入から半年間有効の20%と30%割引クーポン、再購入時にもらえるプチプレゼント、購入者限定セールなど、顧客の購買意欲を刺激するアイデアを列挙してみましょう。


              初購入時にもらえるVIPカードでお買い物するほどお得になる仕組みなど、顧客をリピートさせる工夫、それにかかるコスト計算も忘れないでください。日常のオペレーションやイベントが多くなって、かえってスタッフの手間やコストが増えて、サービスの質が悪くなってしまったら、顧客離れを招いたり、売上が減ったりする原因にもなりかねません。何のためのオファーなのかを検討しましょう。


              目的をスタッフに理解してもらえるようにオファーの資料を作成し、顧客にアピールするツール(割引券やカード)デザインを決めましょう。何となく始めるのではなく、実施の前にツールの配布方法、KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)をどのように測定するかも、あらかじめ決めておきます。


              お客様との関係を強化する重要な計画ですから、失敗は許されません。プレセールなどで何度か試みて問題点を見直し、あなたの会社に合ったオファーを作成してから、本格的なセールを実施するのも1つの方法です。


              やるべきタスク

              1. 顧客獲得コストを計算する。
              2. 購買意欲を刺激するオファーを列挙する。
              3. オファー条件とオファー種類の各セットを列挙する。
              4. オファー資料・ツール(割引券・カード等)の草案。
              5. ツールの配布。
              6. KPIレポート設定。
              7. 本格的な実施。


              あなたの会社のUSP(Unique Selling Proposition、独自性、優位点)は何ですか?なぜお客様があなたの会社の商品を選んでくれたのかをご存知ですか?逆に、あなたの会社の商品が選ばれなかった理由は何でしょうか?自社の強みと弱点を理解し、顧客がどのような要望、ニーズを持っているのかを知って、今後の会社(商品)戦略、顧客サービスのあり方を改善しましょう。そのための方法が、顧客調査であり、失注(なぜ注文がとれなかったか)の調査です。


              最初に、アンケートの質問案を検討し、あなたの求めている情報、なぜ選んでくれたのか、なぜ選んでくれなかったのか、の理由を顧客から引き出すためのスクリプトを作成します。例えば、「今回お買い求めいただいた商品の価格5000円は、高い、安い、妥当、のどれでしょうか?」「高いとお答えのお客様におうかがいします。いくらぐらいが妥当だと思いますか?」「今回、8000円の商品をお買い求めいただけなかった理由は何ですか?」「どうすれば8000円の商品を買いたいと思いますか?」など、あなたが聞きたい情報をできるだけ具体的に尋ねるアンケート案を作成します。


              次に、アンケートに答えてくださったお客様へのお礼を決めておきましょう。「いつもお買い求めいただいているお客様に特別なアンケートのお願い」「ご回答いただいたお客様に 50%割引券を進呈」「2000円の割引券」など、より積極的に回答していただくためのインセンティブ(誘因)を考えましょう。


              アンケートの草案が固まったら、最初はエリアを限定して小規模で行い、その効果を測定し、アンケート内容など実施方法を調整、改善します。この微調整を行うことが調査の精度を高めるポイントです。それから実施期間や方法を決めて、アンケートを拡大して行います。回収したアンケートは、分析して必要な対策、改善計画を作成し、実施しましょう。


              こうした顧客調査を通して、結果的に顧客満足度をあげることが重要です。顧客満足度は、あなたのビジネスが成功しているかどうかに大きく影響します。顧客満足度があがるほど、あなたのビジネスはより成功するでしょう。顧客は安易な妥協を許しません。いつもベストな価格とサービスを求めています。それらのすべてを提供することによって、顧客はリピーターになります。顧客調査はリピーターを増やすための重要な施策なのです。


              やるべきタスク

              1. 回収・分析・必要なアクションの検討と実施計画。

              2. 使える情報を列挙、その情報を引き出すスクリプトを作成。

              3. 配布方法と回答したお客様へのインセンティブを定義。

              4. アンケートの草案を作成。

              5. 調査を小規模実施、効果を測定し調整する。

              6. 収集したデータの効果確認・調整。

              7. アンケートを拡大配布。


              起業しただけで、会社がうまくいくわけではないことは誰でも理解しています。人も会社も明確な目標、ビジョンがないとうまく行動できません。会社がどの方向に進もうとしているのか、会社のビジョンを明確にし、成功へのロードマップを作成しましょう。


              綿密な計画は成功へのロードマップです。一生懸命働いても、それだけでは成功には至りません。あなたの時間、お金、エネルギーを最大限に活用する必要があります。スタッフの増員予定、新しいお店の開設計画、労働時間の短縮化の検討、サービスの拡大など、ビジネスを成功へ導くためのロードマップを作成する必要があります。


              まずは、優先順位のカテゴリーを決めることです。カテゴリーは主に 3 つに分けることができます。ニーズ(必要性)、ウォンツ(欲求)、ビジョン(展望)です。


              1)ニーズ(必要性)

              ニーズは、ビジネスを継続するための最も重要な基本事項です。売上の確保、請求書の支払い、製品の入手、月々の利益の維持。これらはすべて、ビジネスを継続していくうえで必要なことです。ニーズは常に最優先事項です。


              2)ウォンツ(欲求)

              これは、あなたが達成しようとしている短期的な計画の動機です。あなたや社員が満足できる暮らしを送るためには、毎月どれぐらいの売上と利益が必要でしょうか? 正しい動機があれば良い結果につながります。


              3)ビジョン(展望)

              あなたのビジネスの方向性を示す長期的計画を含むカテゴリーです。ウォンツ(動機)とは異なり、社員のやる気を引き出し、あなたの会社の収益に大きな影響を与えることを意味します。社員は会社のビジョンを理解していますか? あなたは社員全員のビジョンに応えられる経営ビジョンを持っていますか? もしも会社のビジョンが明確でないなら、まずは草案を作成し、社内で良くディスカッションして、あなたの会社のビジョンを決めましょう。


              ビジョンが決まったら、その実現のためにどういうウォンツ、ニーズが必要かを考え、30日後、60日後、90日後、1年後、3年後の具体的な実現度合いを決めて数値化しましょう。ビジョンを短期の数字目標に定量化することが社員のやる気になります。社員全員が理解したビジョン、成功へのロードマップがあることが、あらゆる場面でビジネスを支える重要な基盤となります。


              やるべきタスク
              1. 経営者が抱えるイライラや夢、自社の強みなどを列挙する。
              2. ビジョン草案を作成する。
              3. 社員に配布し、ディスカッションする。
              4. ビジョンを固めて、営業資料や社内資料に反映する。


              ルーチンワーク(仕事でいつも行う定型的な業務)は、会社やその人の業務内容によって異なります。例えば、出勤後、朝全員で体操をしたり、社訓を唱和したりすることになっていれば、それは職場での毎朝のルーチンワークです。あなたが営業課長で、毎週金曜日にその週の課の売上を上司の部長に報告する必要があるなら、それは課長であるあなたの毎週のルーチンワークになります。


              ルーチンワークは、同じ会社の組織、部署でも、それぞれ異なる場合があります。また、特定の週、月にだけ発生するワークもあります。会社のワークにどんなものがあるか、社員それぞれにどのようなワークがあるのか、年間、月間、週間、1日ごとにマニュアルを作成しましょう。その出来上がったマニュアルをベースに、ルーチンワークができているかどうかをチェックします。できていないなら、どこに問題点があるかを検討して改善案を作成し、見直します。


              年間、月間、週間、1日のルーチンワークのマニュアルがあって、きちんと行われていることが業務がスムーズに進行する基本です。また、このルーチンワークのマニュアルは、退職する社員の業務引き継ぎや、業務の外注化にも役立ちます。